春は花 夏ほととぎす 秋はもみじ葉 冬雪さえて冷しかりけり (道元・良寛)
人々が新型コロナウィルスで右往左往しておりますが、お四国の大自然は変わらぬ姿を見せ、お四国のお大師さまは変わらぬお姿で同行二人と救いの手をのべて下さっております。
秋晴れて哀れ遍路の一人旅 詠人否知
朝参りは 私一人の 銀杏ちりしく 山頭火
コロナ禍や 札所にも来て 春さみし 郁
この度の新型コロナウィルスの影響で令和2年の春に政府の「緊急事態宣言」により納経所を閉鎖するということが起こり、更にお参りはこの2年間極端に少なくなりました。四国遍路は、移動(旅)があっての遍路、その移動に今自粛が求められておりますので尚更です。四国八十八ヶ所霊場は、いまだかつて経験したことのない危機的な状況下にあります。
四国八十八ヶ所霊場会(以下、当会)では、各行事が中止、または縮小を余儀なくされておりますが、幸い昨年の12月7日、8日の先達新任、昇補の研修会は感染症対策を充分に行いながら無事行うことができましたのは、皆さまのご理解とご協力のおかげと感謝しております。
寺小春 徐々に増えたる県外車 光風
出控えの いまぞ発ちたし 遍路旅 厚子
さて、令和5年は弘法大師御誕生1250年記念の年になります。
この四国八十八ヶ所霊場における四国遍路の起源はこの弘法大師御誕生にあり、令和5年の御誕生会は当会において特別におめでたい年ということになります。そして、この年をコロナ後の四国遍路の再生の年としたいと思っております。
当会では、前年の令和4年6月15日(お大師さまの御誕生日)~令和6年12月31日までの約2年半の期間、ご参拝の皆さまにお参りしてよかったと喜んでいただけるように様々な記念事業を計画しております。
皆さまには、四国遍路を法友、お友達にお勧めいただき、一緒にお参りいただきたいと思います。
ただ新年に入りましたが各国からの情報をみても、日本での新型コロナウィルスの第6波の到来やオミクロン株の拡大が指摘されており油断のできない状況です。
しかし、自粛だけでなく対策を講じながらの「ウィズコロナ」(コロナと共に生きる生活)の生活様式に移ることを政府もすすめております。
わたしたちも手ばなしでコロナ前の巡拝に戻るのではなく、各種の情報に細心の注意を払い、感染対策を講じながら新しい遍路の形態で四国遍路を再開する時に来ています。
般若心経を唱え、御宝号を唱えて、霊場寺院はご参拝の皆さまと共に心を一つにして、このコロナ禍を乗り越えていきたいと思いますので、皆さまのご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
四国八十八ヶ所霊場会 会長
四国霊場第6番札所 安楽寺
住職 畠田秀峰
合掌